抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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繭糸の微細構造は多様で,特に繊度,多孔性,微細構造,セリシン量などに巾広い差が見られる。ヤママユガ科にのみ見られる多孔性繭糸においても,小孔の数,その大きさに大差が見られる。今回は,なぜ多孔性繭糸が生じるのか,その成因,内膜とリソソームとの関係,とくに繭糸内の空間率について観察と測定を行った。その結果,多孔性繭糸内の小孔は後部絹糸腺細胞内に生じたリソソーム由来であることを再度確認した。ヤママユガ科に属する後部絹糸腺細胞の表面にある内膜はカイコガやその他の科に較べ内膜の崩壊が著しく進行し,リソソームは容易に腺腔内へ移行することができる。しかし,ヤママユガ科以外の絹糸腺では内膜がなお残存しリソソームの通過は見られない。したがって,多孔性繭糸はヤママユガ科にのみに存在し,その成因はリソソームと内膜の構造によるものである。ヤママユガ科の多孔性繭糸の空間率については,高いものでテンサン17.4%,クリキュラ22.5%,最も高いものでアゲマ・ミトレイの26.7%であった。(著者抄録)