抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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経営診断における豚枝肉販売単価の個人差は大きく,多くの養豚経営診断事例から収益の変動係数が大きくみられる。分娩回数が平均以上で子豚生産頭数の多い農場,肉豚生産原価が低くて技術指標がグループの中でトップクラスの農場であっても出荷時期の販売単価が低いために,収益は必ずしもトップクラスであるとはいえない場合がある。枝肉単価が収益性の格差を大きく左右しているが,どのような要因に影響を受けているのであろうか。生産,流通,可処分所得,気温などに関する25変数を用いて,その相関行列および主成分分析から変動要因の関連性や動向について検討した。その結果,豚枝肉上物価格は同中物価格,肥育豚生産費,子豚購入価格,CIF輸入豚肉価格との間に正の相関があり,牛肉消費量,鶏肉消費量,豚肉推定出回り量,豚肉輸入量,可処分所得,豚肉消費量との間に負の相関がみられた。主成分分析の結果,第I主成分は豚枝肉流通要因,弟II主成分は豚肉生産要因,第III主成分は気温と枝肉規格要因,第IV主成分はさんま漁獲量と所得要因,第V主成分は牛肉消費要因の5合成変量を抽出した。食肉流通統計から東京都中央卸売市場(以下東京市場という)のデータからは,豚枝肉1kg当たり単価は月別にみると短期間に大きく変動し,夏期は高騰して秋期・冬期に低迷するなど出荷時期による季節間の格差がみられる。夏期の高温で繁殖成績が悪くなることによって春先の子豚が減少して高騰し,また,夏期の高温下の肉豚生産性の低下によって豚枝肉価格はさらに高騰し,秋期に涼しくなって肉豚出荷量が回復すると枝肉価格が下落する。このような季節に伴う生理的変化により,豚枝肉価格は周期的変動を呈している。その他にはBSE,口蹄疫,鳥インフルエンザ等海外悪性伝染病発生,さらには福島原発事故の影響による代替需要がみられ,豚枝肉価格は鶏肉と牛肉の需要量に大きく影響を受けることがある。(著者抄録)