抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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組織には,ヒト,モノ,カネ,情報,知識など様々な資源があるが,なかでもヒトという資源を扱うのが人的資源管理(HRM)である。HRMという用語は,人事管理に代わって,1980年代から英語圏を中心に使われるようになった。HRMは人事管理より広い視点を持ち,それに基づく施策の進歩や統合がもたらされてきたが,他方,HRMの研究は依然として個々の人的資源活動に焦点が当てられ,統一的な理論が欠如していた。その研究は行動科学的アプローチによって特徴づけられ,その主要な分析レベルはマクロというよりミクロであった。HRMはもともとマクロな戦略的視点を含んでいたが,それを明示し焦点化しているのが戦略的人的資源管理(SHRM)である。SHRMの定義は,伝統的なHRMと2つの点で異なる。HRM施策を組織の戦略的経営に結びつけることと,様々なHRM施策の間の協調や一貫性を重視することである。これらは垂直的・水平的適合とも呼ばれる。また,HRM施策が企業レベルの業績に寄与しうるという考え方も3点目の特徴と言える。SHRM論の現状について,1)戦略とHRMの連携:垂直的適合,2)HRM施策間の連携:水平的適合,3)戦略としてのHRM:普遍的アプローチ,の立場を概観した。そして,戦略的HRM論の課題として,1)HRM施策から企業業績への因果関係の検証,2)HRM施策が企業業績に影響するメカニズムの明確化,3)分析レベルと測定方法をめぐる合意形成,をあげてそれぞれについて考察した。