抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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山岳トンネルにおいては,調査・設計段階で予測された地山状況と実際の地山状況が大きく乖離し,施工段階において建設コストの大幅な増加がしばしば発生している.このような乖離が生じる原因として,事前調査で得られる地盤情報の不確実性が挙げられる.著者らは事前調査で得られる地盤情報の不確実性に起因するトンネル掘削コストの変動リスク(以下,地質リスク)の評価および施工実績との比較を行ってきた.これまでの研究では,地質調査で得られる地盤情報の不確実性を考慮したときの乖離量に着目してきた.しかし,地質リスクのマネジメントにおいては,可能性は低いが顕在化すると大きな損失が生じる事象のマネジメントも重要である.そこで,本論文では,事前調査において予見されなかった不良地山が出現したため追加調査を実施した事例を用いて,事前調査および追加調査における地質リスクと施工実績との比較を行った.事前調査における地質リスクでは,施工実績に示される地山状況が出現する確率は低く,追加調査により確率は高くなることを予想した.しかし,追加調査において地盤情報の不確実性を適切に評価せずに地盤情報を追加すると,実際の地山状況が出現する確率は事前調査に比べて低くなった.このことから,単純に地質情報が増えることが重要なのではなく,適切に不確実性が評価された地盤情報が増えることが重要であることがわかった.(著者抄録)