抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
(ア)オオムギ品種のジェノタイピングと出穂特性の解析:早生形質を保ちつつ出穂安定性を付与するには低温要求性を強くするのが有効であり,日長反応性(感光性)を強くする場合には,あまり晩生化しない遺伝子型を検討する必要があることを明らかにした。また,わが国品種の出穂関連形質の遺伝子型を検討した結果,わが国品種の安定早生化のためには「秋播型+HvPhyC,HvCK2αのいずれかまたは両方が早生型+Ppd-H1早生型」(「シルキースノウ」,「イチバンボシ」タイプ),あるいは「春播型+HvPhyC,HvCK2α早生型+Ppd-H1晩生型」(M/G-3,M/G-6タイプ)の遺伝子の組合わせが効果的であると考えられた。さらに新規の出穂関連のQTL解析の結果,Ppd-H1は長日条件,Ppd-H2とHvCK2αは短日条件における早晩性に関わっており,圃場出穂期の決定にも重要であると考えられた。(イ)出穂安定早生オオムギ系統の選抜:「秋播型+HvPhyC,HvCK2αのいずれかまたは両方が早生型+Ppd-H1早生型」系統の選抜では,「東山皮101号」と「関東皮81号」の交配後代F
5系統から7個体,「東山皮101号」,「関系b496」,「東山皮96号」の三系交配後代F
7系統から2個体,選抜した。茎立が遅いやや早生の多収系統の選抜では,「関東二条32号」,「東山皮101号」,「東山皮96号」の三系交配後代である「関東皮93号(関系b544)」と「関系b546」のF
8系統を選抜した。出穂関連遺伝子型を解析結果では,両系統とも秋播型でHvPhyCが晩生型であり,出穂期が安定していることが期待された。また,「関東皮93号」および「関系b546」は,晩生親である「ファイバースノウ」と比べて収量がそれぞれ16%および5%多かった。(ウ)模擬的暖冬条件における選抜系統の出穂安定性の実証:出穂安定性が期待される「関東皮93号(関系b544)」,「関系b546」,「関系b555」と親・比較品種について,加温処理による模擬的暖冬条件が茎立期,出穂期,および成熟期に及ぼす影響を解析した。その結果,全ての品種・系統の茎立ちが数日早くなったものの,早生の親品種である「スカイゴールデン」を除く品種・系統では出穂期と成熟期に影響が見られず,加温処理方法を検討する必要があると考えられた。(著者抄録)