抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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東日本大震災で被災した社叢と海岸植生における震災後の状況を報告するとともに,ダメージを受けた海岸植生および社叢の保全・再生への視座とレジリエンスについて検討した。海岸植生の現状は,2013年10月の植生学会大会エクスカーションにおいて確認した。社叢については2012年7月に組成と構造を調査し,震災前後の空中写真を比較し被害状況を把握した。海岸植生では,海岸林のクロマツの流出,根返り,倒伏が多く見られたが,オカヒジキ,ハマニガナ,ハマヒルガオ,ウンランなどが生育し,海浜植生再生が認められた。旧防潮堤や砂浜の後背地においてクロマツの実生の発生やフジバカマの生育が認められた。砂浜後背地の保安林では,クロマツの枯死による光環境の変化によりニセアカシアの生息地拡大が確認された。社叢では,クロマツやスギの大部分が津波による浸水で流出,枯死していたが,枯死木と生存木の胸高直径に有意差はなかった。今回の調査では,津波や地震による自然撹乱後に,砂浜植生や砂浜後背地において多様な植生が成立していることが確認された。神社においては,社殿も社叢も壊滅状態で2年経過後でも再生が進んでいないところが多いが,祭事によって人々の営みがゆっくり開始している地域もある。社叢の再生・保全には地域の人々が営みを始めることが必要であり,地域のレジリエンスと社叢の保全は相互に関係していると考えられる。