抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震後に福島県内4カ所のバイオマットについて調査した。そして,それらの形成環境,化学組成,電子顕微鏡観察から,バイオマットの特徴について明らかにした。東北地方太平洋沖地震により津波被害を受けた福島県南相馬市鹿島区烏崎の水田土壌表面に形成した白色バイオマットは,ケイソウにより構成され,ハライト,石こうを生じていた。また,ゲルマニウム半導体検出器を用いた核種分析ではセシウムが検出され,SEM-EDSによる半定量分析から特定の元素が微生物に濃集されていることが明らかとなった。福島県南相馬市原町区東ケ丘公園では,湧水が流れる水路で鉄酸化細菌Leptothrix ochraceaにより形成された赤褐色バイオマットが認められ,SEM-EDSによる半定量分析では主に鉄が濃集されていた。さらに,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震直後に,福島県いわき市内郷高坂町の住宅の土台や水抜き穴から温泉水が噴出した。その1カ月後の4月11日に発生したM7.0の地震時に,いわき市泉玉露の立坑からも高温の温泉水が噴出した。内郷高坂町では,鉄酸化細菌Leptothrix ochraceaにより赤褐色バイオマットが形成された。泉玉露では,イオウシバが繁茂し,還元性細菌によりイオウと石こうが形成された。これら4カ所で観察されたバイオマットは,それぞれの地域の環境にあわせて微生物が棲み分けており,また環境変化によりもたらされた特定の元素を濃集する可能性が明らかになった。(著者抄録)