抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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汎用コンバインの脱穀機能により稲の穂先から茎まで圧砕された稲わら(圧砕稲わら)は自脱コンバインから排出された稲わらよりも短時間で乾燥する。このため,天候不順により調製が難しかった地域においても有効な粗飼料としての供給が可能と考えられる。しかし,圧砕稲わらを家畜に給与した研究はこれまで行われていない。そこで,本研究では広く普及している乾燥稲わらと圧砕稲わらを用い,乾燥処理の違いが飼料成分に及ぼす影響と,肥育期の日本短角種去勢牛に給与した際の血液性状や産肉性に及ぼす影響について比較検討した。稲わら中の一般成分については乾燥処理の違いによる有意な差は認められなかった。圧砕稲わら中のビタミンE含量は乾燥稲わらに比べて処理直後で高く,貯蔵30日以降は両稲わらとも低いレベルで推移した。また,乾燥稲わら区および圧砕稲わら区の血漿中ビタミンE濃度については,試験期間中の推移に有意差は認められなかった。血漿中の代謝産物では,圧砕稲わら区の遊離脂肪酸濃度が給与後30,90および120日において乾燥稲わら区に比べて低い値(P<0.05)を示した。一方でグルコース,尿素態窒素およびコレステロール濃度は,両区ともに同レベルの変化を示した。抗酸化性との関係については,酸化ストレスの指標である血漿中d-ROMs値が圧砕稲わら給与により低下する傾向が認められた。試験期間における増体および屠畜後の産肉成績については,両区に違いは認められなかった。日本短角種肥育牛への圧砕稲わら給与は,従来の乾燥稲わらに比べて庇漿成分への特徴的な影響は認められず,増体並びに産肉性にも遜色ない事が明らかになった。よって圧砕稲わらは乾燥稲わらの代替粗飼料として有効利用が可能である。(著者抄録)