抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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既存のガソリン車よりもエネルギー効率に優れる燃料電池自動車(以下,FCEVという)は,2014年に世界初の量産車が市販され,今後,他メーカーからも発売される予定である。通常,FCEVは,衝突事故による衝撃や水素漏洩を検知すると,水素容器からの水素の供給を停止する構造になっている。しかし,本研究では仮に故障が生じて水素が連続的に漏洩した事故シナリオを考えてみる。このような場合に水素の漏洩を認識するための方法としては,水素漏れ検知器があるが,必ずしも傍にあるとは限らない。そのため,人間の五感の一つである聴覚によって,水素漏洩音の認知により危険性を判断できれば,有力な情報源となる。しかし,気体の漏洩音に関する研究は,空気のノズルからの噴流音のみであり,水素では行われていない。そこで本研究では,人の聴覚によって安全に救助活動を行う手法を検討するために,水素漏洩車両からの水素漏洩音の特性および交通騒音環境下での水素漏洩音の弁別閾値の流量と車両からの距離の関係を調査する。実際に街中の交差点で車両から水素を漏洩させて聴取実験を行うことは,騒音レベルが絶えず変化していることから,一定の騒音レベルでの評価が困難であり再現性が悪い。そこで,交通騒音環境下でFCEVから水素が漏洩した状況を再現するために,1)交通騒音を録音し,2)無響室内で安全な水素漏洩音代替ガスを漏洩させると同時に,1)で録音した騒音を再生させて聴取実験を行う。配管単体における水素漏洩音の代替ガスとしてはヘリウムが最も水素の音響特性に近いことが著者らの報告によって明らかにされていることから,水素漏洩音の代替ガスとしてヘリウムを用いた。本報では,車両からの水素漏洩音の特性から漏洩音を聞き取りやすくするための方法について考察するとともに,無響室で聴取実験を行うために,水素漏洩音の騒音レベルと等価となるヘリウムの流量の関係および車両からのヘリウム漏洩音の水素漏洩音に対する妥当性を調査した。(著者抄録)