抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,高齢者の移住に関し,高齢者の移動とその影響について報告した。先ず,2015年6月,日本創成会議・首都圏問題検討分科会が,『東京圏高齢化危機回避戦略』を公表したこと,本稿では最初に人口移動の状況から見た高齢者の移動と高齢期の移動タイプを確認し,次に研究成果が明らかにした生活拠点の移動(移住,転居)による精神的影響を紹介すること等を報告した。次に,高齢者の居住移動の現状に関し,性・年齢階級別の移動数と移動率(2010年),65歳以上の5年前の常住地別移動率(2010年)等について報告した。更に,居住移動による精神的影響に関し,高齢期の移動タイプ,転居後の生活への適応状態の比較:生活満足度の得点等について報告した。最後に,地方への高齢者移住策について,1)現状では高齢者の居住移動はそれほど多くないし,これから急増するとも思えないこと,2)移動タイプで示した「快適さを求めての移動」は,高齢期の生活をデザインする上で,重要な選択肢の一つであること,3)高齢者の居住移動が自発的に決められ,周到な計画と十分な準備をもって行われれば,悪い結果には至らず,好ましい出来事となること,この3点をベースにして,移住先にずっと止まって,そのサービスを受け続ける人たちがどれだけいるのだろうかということ等を考えると,高齢者の地方への移住が東京圏高齢化問題への有効な対応策の一つであるのか大いに疑問であること等を報告した。