抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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漁業に被害を与える赤潮の形成機構の解明には,連続流れ分析装置を用いた栄養塩の多項目分析を多数の空間的および時間的サンプリング試料について行う必要がある。そのため,試料の保存・解凍が欠かせないが,この方法次第で,正確な分析結果を得ることができない。そこで,本研究では,鹿児島湾・湾奥部沿岸域の比較的栄養塩濃度が低い海域での低次生態系に重要な硝酸,亜硝酸,アンモニア,リン酸,およびシリカの5項目について,その最適な保存・解凍プロトコルを提案することを目的に検討を行った。保存方法は,冷蔵保管:3°C,冷凍保管:-20°C,および超低温保管:-60°Cとし,解凍法は,流水解凍,20°C解凍,および冷蔵庫解凍とした。実験の結果,サンプリングから3日以内に分析するのであれば,冷蔵保管が好ましいが(誤差範囲5%以内),NH
2-Nについては可能な限り速やかな分析が必要なこと,また,3日以内に分析が不可能な場合には,-60°C以下の冷凍保管が好ましいが,SiO
2-Siについては,ポータブル式吸光光度計等による当日分析が望ましいこと,さらに,30日程度であれば,DIN(溶存無機窒素)およびDIP(溶存無機リン)の測定誤差は,それぞれ,5%以内および0.1μmol/Lが生じる可能性あることがわかった。アンモニアについては本海域の濃度が低く検出限界以下であったため結論が得られていない。なお,解凍法については3法に相違がほとんど見られなかったため,流水解凍の結果のみを示した。