抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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物体に生じたき裂は変形によって生じる弾性エネルギーと,き裂面を形成するために必要な表面エネルギーの収支で考えると変分法などの数学的手法を用いて解析できる。本論文では,0と1の間の値をとる滑らかな関数(フェーズフィールド)を用いた近似によって,物体のエネルギーを容易に計算できるようにしたBourdin-Francfort-Marigo(B-F-M)のき裂進展フェーズフィールドモデルを解説した。フェーズフィールド法は仮想的な状態変数を導入し,き裂進展現象をうまく表現して数学的な扱いを容易にしているが,大域的なエネルギーの最小状態(き裂状態)を求めるのは難しい。著者らは以前にB-F-Mモデルからエネルギー勾配流に基づく時間発展方程式を導出し,き裂が局所的なエネルギー極小解を選ぶと考えるT-Kモデルを提案した。T-Kモデルは変位に関する弾性体方程式と,フェーズフィールドに関する反応拡散方程式を組み合わせてき裂の時間発展を追いかけることができ,1)き裂進展方向が自動的に決まること,2)き裂先端部での応力の発散が抑えられること,3)3次元問題や複合問題でのき裂進展を扱えること,4)特殊な数値解法を必要としないことが利点である。実際に,i)面外変形,ii)平面,iii)3次元,iv)化学物資の濃度に応じた材料脆化を伴う場合のi)におけるき裂進展シミュレーションについて述べた。