抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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実際の工場内で塩酸の貯蔵に20年以上も利用されていたFRPタンクからサンプルを取り出して,SEM・EDS,FT-IRによる分析をした。また曲げ試験,引張試験も行った。EDSによる塩素マッピングから深さ5mmのところまで塩酸が侵入しており,タンク壁面より屋根面の方がより深く侵入していた。FT-IRからタンク外側の強化層は不飽和ポリエステル樹脂,内側の耐食層はビニルエステルが母材であった。劣化にともなうスペクトルの変化は観察されず,化学構造の変化をともなう耐食劣化は起きていない。Caのマッピング画像から,塩酸が侵入したと思われる部分ではCaがほとんど検出されず,ガラス繊維が塩酸で腐食されCaが溶出していると考えられる。曲げ試験および引張試験の結果から,屋根部の強度が著しく低いことが分かった。これは強度を担うガラス繊維が腐食したためと考えられる。屋根部で劣化が早い理由として,昼夜の温度サイクル,タンク内外の温度差,FRPの材質や製造法の違いなどが塩酸の侵入を促進していたのかも知れない。