抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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長崎県対馬市は南北に長い島であり,対馬のそれぞれの農家ではサツマイモを原料とした固有の伝統保存食品である『せんだんご』を小規模に製造している。せんだんごは,水で戻し,捏ねた生地を麺状に加工して茹であげ『ろくべえ麺』として食される。ろくべえは,原料であるサツマイモ単体では生じ得ない食感を有していることから,せんだんごの製造工程に着目した。せんだんごの製造には,“芋を腐らせる(発酵させる)”工程,それを丸めて数ケ月に及ぶ軒下での“寒晒し”の工程があることから,島内各地域の「せんだんご製造農家」を訪問し,製造方法の調査を行った。その結果,これら両工程にはカビなどの微生物が繁殖しており,黒色カビが繁殖した場合は味が悪くなるという理由からその部位が破棄され,白色や青色カビが繁殖した部位の製造が続行される。このことから微生物の働きがあってせんだんごとなり,さらにろくべえ麺特有の食感が与えられると推察した。さらに,せんだんご製造に重要な働きをすると考えられる微生物を特定するにあたり,数年にわたり島内の調査を重ねた結果,基本的にはせんだんご製造工程には3段階の発酵工程(発酵1(浸漬),発酵2(棚板に広げて発酵),発酵3(ソフトボール大の塊で発酵))と洗浄・成型工程の2工程4区分に分けられることが確認された。(著者抄録)