抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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今日ビジネスアプリケーション開発の現場では空前のアジリティが求められている。また,システムはよりいっそうデータ指向的になってきている。そのため,アプリケーションの中核となるモデルとして構築されるドメインモデルは,1)問題領域を端的に記述し,2)ドメインの専門家と開発技術者との意思疎通を促進し,3)ドメインの論理要件を満たして,4)データベース設計のデータモデルへの変換もストレートフォワードに行えるようなモデルであることが要求される。しかしながら,オブジェクト指向の発想だけでは,このようなドメインモデルを構築することは難しく,かといってデータ項目主導型の正規化理論をそのまま持ち込むことは困難である。そこで,本稿では,存在従属性に着目したドメインモデルの構築手法とUMLのクラス図をベースとした表記法を提案する。ホワイトボードに手書きできるくらい簡潔でありながらも識別子の関係が手に取るように理解できるモデルを目指す。存在従属性の概念は理解しやすく,ドメイン中のいたるところで見出されるため,提案手法により,第4正規形と同等以上の正規化レベルを持ったドメインモデルが自然に構築できる。提案手法がオブジェクト指向手法において正規化に似た役割を果たし,ドメインエキスパートとシステムエンジニアが共同で参加するモデリング作業の一助となれば幸いである。(著者抄録)