抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道オホーツク海沿岸の3地点で観測された日周潮流の季節変化を調べた結果,宗谷暖流が強まる夏季から秋季の時期,日周潮流の回帰潮・分点潮の位相が天文潮から予想される位相と一致しなくなる現象をみつけた。このとき,日周潮流の伝播速度は約1ms
-1のオーダであり,これは潮汐波(陸棚波もしくはケルビン波)の位相速度と比べて非常に遅く,むしろ宗谷暖流の南下流速に近い値であった。このような日周潮流の変調を理解するために,宗谷暖流と日周潮汐の両方の物理現象を同時に表現した数値モデル実験を行った。強い宗谷暖流が駆動されるモデル条件において,強制した日周期の周期性をもった反時計回りの渦流列が宗谷暖流の沖合側に形成されるというモデル結果を得た。再現された渦流列は水位差駆動のみでも生じる順圧不安定波の特徴によく似ている。すなわち,日周期強制により周期が固定された渦流列の励起,言い換えれば,日周期振動流が順圧不安定波と共鳴している可能性が推測される。現場海域における渦流の伝播速度や強さは宗谷暖流の季節変化と回帰潮・分点潮サイクルに依存しているため,渦流列の形成には大きな時間変化が伴い,それゆえ,観測された日周潮流の変調が引き起こされたと考える。(著者抄録)