抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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一般に侵略的外来木本種であるとされるイタチハギ(Amorpha fruticosa L.),ナンキンハゼ(Triadica sebifera(L.)Small)の2種について既往研究のレビューを行った。イタチハギは北米大陸北東部原産の落葉低木で,法面緑化に使用されたものが半永続的群落を形成して,そこから河川沿いに逸出し,北海道から沖縄に至る全国の河川で分布を拡げていた。また,法面で実施された皆伐・薬剤塗布による駆除実験は,1年目は効果があったように見えたものの,その後,群落が回復したため,駆除には継続的な刈取り等が必要と考えられた。本種にPheloungのモデルが適用された結果は「導入不可」,またJohn and Lindaのモデルが適用された結果は「高い侵略性がある」という評価であった。ナンキンハゼは中国南部原産の鳥散布型の小高木で,18世紀に観賞用,あるいは油脂の生産用として日本に導入された。近年,ナンキンハゼは河川敷,開放空間,あるいは森林内のギャップに分布域を広げている。例えば,ニホンジカ密度が極度に高い奈良市の春日山原始林や兵庫県の淡路島では,ニホンジカの不嗜好性植物である本樹種が急速に分布域を広げている。現在,全国的にナラ枯れが広がり,跡地の植生回復が課題となっているが,暖温帯のニホンジカ密度が高い地域ではこれらの相互効果によるナンキンハゼの森林への急速な侵入が危惧される。(著者抄録)