抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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先カンブリア時代の環境復元において,硫黄同位体比に関する研究は非常に重要である。例えば,硫黄同位体比から推定される初期地球の海洋硫酸イオン濃度は,当時の大気酸素濃度と深く関係する。本総説では,このような海洋硫酸イオン濃度の推定へとつながる研究を中心に紹介し,これまでの研究の方向性や議論の流れをまとめた。地層に残る硫酸塩と硫化物間の同位体比の差の大小は,同位体分別時の硫酸還元速度や海洋中の硫酸イオンの濃度によることが知られている。この性質を利用して,硫酸還元菌の培養実験やモデル計算などから当時の硫酸イオン濃度を推定する研究が行われてきた。しかし,それぞれの研究において使用される方法やアプローチが異なり,多様な議論が展開されてきた。近年の研究を見ると,太古代の海洋硫酸イオン濃度は極めて低く,現世の海洋硫酸イオン濃度(28mM)の1/100~1/10,000程度であるとする見方が多い。(著者抄録)