抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文は,創設期の東京帝国大学附属植物園日光分園におけるロックガーデンの整備について報告した。先ず,ロックガーデンは,17世紀末頃のイギリスにおいて,日本や中国から渡った築山に山野草を植えたのが始まりで,19世紀後半には岩を組み上げた形に発展したこと,本稿では,近代日本におけるロックガーデンの成立の一端を辿るために,日光分園の創設から移転までの9年間を創設期(1902-1911)と位置付け,いかなる施設整備を進めたかを,関連する施設にもふれながら明らかにしたいこと等を報告した。次に,日光分園の創設,近代日本の植物園におけるロックガーデンの成立を報告した。最後に,本稿では,東京帝国大学理科大学附属植物園日光分園について,東照宮と稲荷川に挟まれた2620坪の敷地に,高山研究の研究・教育,さらには保護も目的として,松村任三の主導により創設されたこと,園内には,数個の石山,清流及び小瀑布よりなるロックガーデンが毎年徐々に整備され,明治39(1906)年頃には公開されたこと,日光分園の跡地には,石山や小瀑布の一部が今尚残っていること,これらは,近代日本の植物園におけるロックガーデンの成立を記念する貴重な遺構であり,近代日本の造園遺産としての保存及び活用が望まれること等を報告した。