抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年夏季に津軽海峡内の浅瀬(シル)地形上でXBT往復調査を実施し,シル付近に捕捉された内部潮汐波の時間発達・衰退の様子を観測した。シル上の下流側で観測された下凸内部波の振幅は,日周潮流(Sub-inertialな周期強制)に同期して,東向き通過流の増加期と減少期の2回増幅されていた。観測された内部波は,3次元の地球回転系水路モデルにおいて,潮流-シル間の強い相互作用で励起されたポアンカレ波として再現することができた。そこで,時間発展するポアンカレ波の物理メカニズムを理解するために,f平面長波近似の線形2層モデルを作成した。Hibiya理論により提案された,各瞬間にシル上で放射される「基本波」という考え方に立てば,ポアンカレ波は基本波という初期擾乱の地衡流調節過程を通して出現する波動とみなすことができる。通過流増加期と減少期には中程度の流速をもち,シル上の局所的な場所でのみフルード数が1を超える(Fr>1)ことができる。これら2回の時期において,シル上の下流側でFr=1となる臨界点近くでは,上流伝播するポアンカレ波が効率的に重ね合わさるため,内部波振幅の効果的な増幅が生じることがわかった。また,シル上の局所的なFr>1という条件は,潮流振動が考慮されない定常通過流でも満たされ,準定常状態の内部波列が形成される。ただし,ポアンカレ波がもつ強い分散性によって,それらの振幅が無限に大きくなることはない。(著者抄録)