抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文では,アメリカ国立気象局/アメリカ大気研究センター(NCEP/NCAR)の56年間の再解析データを用いてエル・ニーニョ/南方振動(ENSO)及び準隔年振動(QBO)に伴う北半球での冬に成層圏で観測された経年変動を調査した。本研究では,季節の平均場の変化と同程度に大規模な成層圏の突然の温暖化発生(MSSW)の変化に焦点を当てた。本研究の結果から,季節平均場としてのENSOとQBOの両方に伴うMSSWの確率の複雑な変化が明らかとなった。しかしながら,90%の信頼レベルで統計的に優位な変化はデータ期間の制約を反映したENSOとQBOの状況のいくつかの組合せでのみ得られた。QBOが西からのフェーズの場合,MSSWの確率は東部赤道太平洋におけるENSOの海面水温状況とともに(つまり,ラ・ニーニャから平常状態そしてエル・ニーニョと)増加した。QBOが東からのフェーズの場合は,逆に確率は有意にラ・ニーニャの年に平常年よりも増加したが,平常年とエル・ニーニョ年との間に有意な差はなかった。ラ・ニーニャでQBOが東からの冬に高いMSSWの確率を持つ特徴があり,これは気候学と比較した東西方向の波数1の定常波の強化と一致した。これらの結果は,北半球の冬の成層圏でのMSSWの頻度を調査する際に,ENSOとQBOの両方の要因を考慮に入れる重要性を示唆している。(翻訳著者抄録)