抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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読者の質問『重大事故を減らすことは,軽度の災害を減らすことで達成できると考えてきたが,日本と欧米との災害比較データをみると,死亡災害と休業災害は独立していると感じる。1)重大災害に対する対策は,軽度の災害対策と別に講じなければならないのか,2)日本と欧米との災害比較データが意味するところは,重大事故の原因が,必ずしも,軽度災害の延長線上にないのではないか。その場合,ハインリッヒの法則はどのように考えればよいのか。』に答えた。日本と欧米との災害発生率の違いは,すべての事故を防止するという考え方の日本と,重大事故防止に重点を置く欧米の考え方との違いである。まず,ハインリッヒの法則について説明した。第1法則は”Rule of Four”,第2法則はActs of God”であり,第3法則が”The Foundations of Major Injury”である。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり,さらにその背後には300件のヒヤリ・ハットがあるとした「1:29:300」の法則で,通常はこれがハインリッヒの法則と呼ばれている。「軽度の事故も見逃すな」と,すべてのリスクに手を打とうとするのは,ハインリッヒの法則の拡大解釈と考える。次に,イギリスの安全衛生庁(HSE)の考え方を解説し,さらに,福島第一原子力発電所事故から学ぶことを述べた。日本のリスクマネジメントの課題は,1)すべてのリスクに対策を講じるのではなく,重大事故防止に重点を置く,2)発生確率がゼロでない以上事故は起き得るので,それでも起きてしまったときの対策を講じる,ことである。