抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本語史における近代は,それまでの漢文・文語中心のスタイルから今日の書き言葉に繋がる口語文へと移り変わる変革期であった。本稿では,近代における漢語表記の多様性と,現代にかけての表記の淘汰・統一の様相を明らかにすることを目的にして,形態論情報付き近代語・現代語コーパスを用いて,漢語の異表記の実態調査・分析を行った。具体的には,まず,研究の背景,先行研究の整理,研究方法,近現代両用の約2,000語を対象にしたことなどを述べた。次に,調査結果として,近現代における漢語の表記事情,近代に見られる異表記とその比率,異表記表示の経年変化(標準表記定着時期の推定,表記割合の変化)を提示した。その上で,1)一語が有する表記数は近代より現代で少ない,2)現代で消失・衰退した表記が,近代では高頻度で使用された事例が多くみられる,3)表記の淘汰や交替は,近代で既に生じている語とそうでない語とがある,が明らかになったとした。