抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本誌2016年5月号の「現代物理学のキーワード」欄に物性物理学における「スピンカイラリティ」について一般的理解が忠実に記述されているが,本稿では,この理解に一石を投じる。螺旋磁気構造と三角クラスタ(および三角格子反強磁性体)における「ベクトルスピンカイラリティ」,そしてスピン由来の異常Hall効果で登場する「スカラースピンカイラリティ」について考察した。スピンは古典的には軸性ベクトルなので空間反転(P)対称性に関して偶パリティであるから,カイラリティではない。軸性ベクトルの外積であるベクトルスピンカイラリティも厳密な意味でのカイラリティではない。螺旋磁性のように軸性ベクトルとカップルすればカイラリティの要件を満たす物理量になることができるが,三角クラスタのように軸性ベクトルとカップルして意味をなすものはそうはならない。スカラースピンカイラリティもカイラリティとしての要件を満たさない。より普遍的な概念の構築が必要である。