抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
2016年4月14日から2016年8月31日までの期間における2016年熊本地震系列で記録されたデータから決定した17,544個の震源を再決定した結果を提示した。このために,NIED Hi-netカタログの差分時間と同様に,相互相関差分時間による高解像度震源位置を拘束するための二重差分再決定法を採用した。この時系列には,日奈久と布田川断層が合流する複雑な地域で発生した2個の大地震(4月14日のM
JMA6.5と4月16日のM
JMA7.3)が含まれていた。3つの異なる期間[(P1)2001年~2012年,(P2)M
JMA6.5~M
JMA7.3及び(P3)M
JMA7.3~2016年8月31日]におけるこれらの高解像度震源決定を比較することによって,背景地震活動に対しての本震後の顕著な地震活動を示した。熊本地震系列中における地震は,一般に既知の断層及び背景地震活動と同じ地点で発生していた。一例として,期間P2における地震活動は,日奈久断層の北部に沿う約20kmにわたる鋭い線状形を形成した。P3期間中には,阿蘇カルデラの北部において日奈久断層に沿ってその東部まで(約28kmにわたって),また,別府-万年山断層帯周辺の大分地方において,一連の線状地震活動が発生した。これらの地震は,日奈久断層帯の中部及び南部にも及んでおり,M7.3地震後にのみ形成された。さらに,高分解能震源位置から,背景地震活動が確認されてこなかった地域で発生した地震のいくつかのクラスタを特定することもできた。例えば,阿蘇カルデラ北西端や別府-万年山断層帯内の小地域における新たな地震活動が明らかとなった。本研究では,布田川断層帯の北東延長部と阿蘇カルデラ帯との間には地震活動が存在しないことを示しており,それはM7.3地震以降に明らかになったことである。この低地震活動域は,低速構造と高速構造との境界に位置し,異なる発震機構解を示したが,しかしまた,M7.3地震の最大滑り域にも近かった。(翻訳著者抄録)