従来の位相縮約法の適用は摂動が弱い場合に限られたが,一般化位相縮約法[W.Kurebayashi et al.,Phys.Rev.Lett.,2013]は,強い摂動を受けるリミットサイクル振動子を,1次元の位相モデルに縮約することを可能にした。本稿では,この一般化位相縮約法を応用し,複数の振動子が強く相互作用する系の同期解析を可能とする,新しい位相モデルを導出する。一般化位相縮約法では摂動による軌道の歪みを陽に考慮できるため,強い相互作用によって歪んだ多様体上の非自明な位相ダイナミクスを,低次元の位相モデルによって記述することが可能となる。(著者抄録)
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