抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,海底面の形状が異なる2つの津波実験装置(それぞれ津波実験装置1号と津波実験装置2号と呼ぶ)を製作し,津波防災教育としてそれらを用いて中学2年生を対象に授業実践を行った。津波実験装置1号は,海底面を陸棚を模した形状にしたものであり,津波実験装置2号は海底面をなだらかなスロープ状にしたものである。これらの津波実験装置では,通常の押し波だけでなく引き波も起こすことができ,また海岸線の地形として直線状の場合だけでなくV字型にすることもできる。これらの津波実験装置を用いた授業後に生徒たちに津波に関する理解や認識について自由記述式のアンケート調査をしたところ,多くの生徒が「海底の地形によって津波の大きさや威力が違うことがよくわかった」とか「津波には押し波だけでなく引き波もあることがわかった」,「津波が伝わる速さや高さ,威力がよくわかり,とても怖いと感じた」などと回答し,津波の性質や威力などを理解する上で生徒にとってたいへん役に立ったことがわかった。また,「津波のしくみや種類,大きさ,強さ等がよくわかって便利だし,津波への意識が変わった」,「今まで津波について実感がわかなかったが,この実験はとてもわかりやすく貴重な体験だった」などと回答した生徒も多く,さらには「津波に備えてどうすべきか,改めて考えてみようと思った」とか「津波が来そうな場合は,すぐに高台などに避難しないといけないことがよくわかった」,「津波についてもっと調べたいと思った」と書いた生徒もいた。このように,これらの津波実験装置を用いた授業によって,生徒たちに津波についての理解を深めさせることができ,また津波に対する興味・関心を持たせたり迅速に避難することの大切さを認識させたりすることができたと言え,津波防災教育上たいへん効果的であったものと考えられる。(著者抄録)