抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道内において栽培試験結果の適用範囲に資するため,北海道内の気象庁アメダス地点の平年値2010の月平均気温と月降水量を使用し,統計的に気候区分を行った。12ヶ月の月平均気温・月降水量の全24データから統計的にクラスター分類した。得られたクラスターの有意差の検証のため,多重比較検定を行った。さらに,各クラスター平均値から,季節変動パターンであるハイサーグラフを作図した。クラスター数5を採用した結果,クラスターA,Bは日本海側に分布した。クラスターCは,オホーツク海側から内陸,太平洋岸まで広く分布した。クラスターD,Eは根釧地方および太平洋側に分布した。クラスターAはクラスターBの多雪がより顕著であり,クラスターEはクラスターDの夏季多雨がより顕著であった。6~8月のクラスターDの月平均気温は低温であり,他のクラスターと有意差を持つことが分かった。クラスターCは,オホーツク海側気候に対応すると考えられるが,その分布は,内陸から脊梁山脈を大きく越えて,太平洋岸(えりも岬以西)にまで達していた。十勝平野においては,南部はクラスターDであるが,北部の芽室,帯広,池田,上士幌,駒場,鹿追などが統計的にクラスターCとなり,そのさらに北部高標高の新得やぬかびら源泉郷が再びクラスターDとなった。また,従来の気候区分では考えられない分類結果の地点が離散的に生じた。これは各地点の観測値が,その広域的な気候と局所的な地形による気候が混じりあった観測結果であるためと考えられる。したがって,特異的に異なるクラスターを持つ観測点の周辺の土地では,どのクラスターに属するかは,最近傍の観測点のみに注目するのではなく,総合的に判断する必要があると考えられる。クラスター分類結果をハイサーグラフで表示することにより,対応地域の気候に対する理解が容易となった。道内での牧草のような多年生作物の栽培試験と照らし合わせるとき,同一クラスター内に分類された試験機関等の試験結果は,気候が類似している地点に適用できる可能性が高いと考えられる。(著者抄録)