抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,津波の防災・減災対策を推進するうえで,避難訓練が有効であることを受け,そこにおける課題を洗い出し,関連する対策を提案し実施したものである。具体的には,地域社会における避難訓練の参加率が低いこと,訓練者の主体性が奪われていること,訓練者の具体的な行動を把握するのが困難,訓練結果のフィードバックが不十分,などの課題があったと指摘した。それに対して,住民が主役となる避難訓練の手法を,住民・行政・専門家が協力して開発した。その成果物の1つはスマートフォンをベースに開発した「逃げトレ」というアプリである。「逃げトレ」は,津波ハザードマップや津波到達時間を提供し,移動中の訓練者の現在位置や経路,スピードなどをGPSで記録し,訓練結果を判定するものである。これまで,大阪府と高知県において数回にわたって社会実装を行ってきた。実装の結果,訓練者から「緊張感を持って訓練できた」「津波を意識して避難できた」と,ポジティブな評価が得られた。さらに,訓練者には,避難する前の準備時間や避難途中の経過時間など,「時間」に対する関心が高まり,避難時間を短縮する努力や,余裕な時間を持って周りの高齢者を補助する行動が見られた。よって,「逃げトレ」は,これまでの訓練の課題を解決するツールとして役に立つだけでなく,住民自身が主体的に効率的な避難対策を模索するツールとしても役割を発揮したと位置づけられる。(著者抄録)