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J-GLOBAL ID:201702262438966465   整理番号:17A0486896

カキにおけるフジコナカイガラムシの総合的防除法の開発

Integrated management of Planococcus kraunhiae (Kuwana) (Homoptera: Pseudococcidae) injuring Japanese persimmons
著者 (1件):
資料名:
号:ページ: 64P  発行年: 2017年03月 
JST資料番号: X0532B  ISSN: 2423-9143  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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フジコナカイガラムシPlanococcus kraunhiaeは福岡県のカキ栽培で問題となっている重要害虫である。従来,本種の防除は主に薬剤散布によって行われていたが,果実とヘタの間や樹皮の隙間など薬剤が到達しにくい場所に生息していることや,防除効果の高いふ化幼虫発生時期が把握しにくいなど,その効果には限界がある。そこで,本種に対する防除技術の開発を試みた。1.フジコナカイガラムシ防除に土着天敵を活用するため,県内カキ園における土着天敵相を調べたところ,寄生蜂8種と捕食者5種が確認された。特に採集数の多かったのは寄生蜂のフジコナカイガラクロバチAllotropa subclavataおよびフジコナカイガラトビコバチAnagyrus fujrkona,捕食性タマバエの1種Diadiplosis hirticornisであった。2.無防除カキ園ではフジコナカイガラムシの発生が少ないことから,カキ園で使用される薬剤が天敵に悪影響を及ぼし,フジコナカイガラムシのリサージェンスを引き起こしている可能性がある。そこで,県内の天敵相調査で最も多く確認された寄生蜂フジコナカイガラクロバチに対する各種薬剤の影響を調べた。その結果,直接的な悪影響は,供試したIGR剤,BT剤,殺菌剤ではほとんど認められなかった。一方,合成ピレスロイド剤やネオニコチノイド系剤,有機リン剤はほぼ100%の死亡率を示した。合成ピレスロイド剤およびアセタミプリド水溶剤を除くネオニコチノイド系剤はいずれも2週間以上悪影響が持続した。有機リン剤は剤によって残留性による悪影響を及ぼす期間が異なり,プロチオホス水和剤は2週間以上であったがフェニトロチオン水和剤では5日未満であった。3.フジコナカイガラクロバチに比較的悪影響が少ない剤を利用したカキ害虫の防除体系,天敵活用型防除体系を構築した。この体系では,1)フジコナカイガラムシの防除は越冬世代と第1世代幼虫発生時期のみ行い,第2世代以降のフジコナカイガラムシに対する薬剤防除は行わない。2)害虫防除で使用する薬剤はフジコナカイガラクロバチに及ぼす悪影響ができるだけ小さいものを選ぶ,そして,3)果樹カメムシ類等突発的に発生する害虫は必要に応じて防除を追加する。特に,果樹カメムシ類が多飛来する場合は従来の合成ピレスロイド剤に替えてネオニコチノイド系剤で防除することとし,この天敵活用型防除体系の効果について検証した。この防除体系により,慣行の防除体系に比べてフジコナカイガラムシの高い被害抑制効果が得られ,さらに,薬剤散布回数や経費も削減できることが明らかになった。4.土着天敵のフジコナカイガラクロバチに悪影響を及ぼすが,フジコナカイガラムに対する防除効果が高いネオニコチノイド系殺虫剤の高濃度溶液をカキ樹主幹部に塗布することにより,土着天敵に悪影響を及ぼさずにフジコナカイガラムシを防除する樹幹塗布法を考案した。発芽前に高濃度のジノテフラン水溶剤を塗布することで,殺虫成分が樹液の流動に乗って植物体内に行き渡り,4月以降越冬場所から離脱して樹液を吸汁するフジコナカイガラムシに対する防除効果が認められた。さらに,塗布剤処理前に主幹部の粗皮を木質部近くまで深く丁寧に削る,主幹に加え主枝部まで広く処理する,処理後できる限り長く塗布剤をとどまらせるため降雨前を避けて処理する等により防除効果が向上した。5.フジコナカイガラムシの合成性フェロモン剤(主成分:2-イソプロピリデン-5-メチル-4-ヘキセン-1-イルブチレート)を用いた防除適期であるふ化幼虫発生時期の予測を試みた。フェロモントラップにおける越冬世代雄成虫誘殺ピークを起点とし,平均気温を用いた有効積算温度法により予測した第一世代の幼虫ふ化時期は,誘引バンドにおける実測値と概ね一致した。この予察法により薬剤防除の効果向上が期待される。6.合成性フェロモン剤の,フジコナカイガラムシに対する交信撹乱効果を明らかにした。野外条件下で,カキ園(4~5a)に越冬世代幼虫発生時期にフェロモン剤をカキ樹に設置したところ,雄成虫定着阻害効果および交尾阻害効果が認められ,雌成虫の産卵雌率を低下させることができた。3年間延べ4ほ場で試験を行い,性フェロモン剤を用いた交信撹乱による次世代の密度抑制効果が示された。7.コナカイガラムシ類の寄生蜂サワダトビコバチAnagyrus sawadaiを誘引する物質2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルブチレート(シクロラバンデュリルブチレート,以下,CLB)を発見した。A.sawadaiは自然条件下ではフジコナカイガラムシには寄生しないが,CLB設置下では寄生する。また,フジコナカイガラムシの土着天敵フジコナヒゲナガトビコバチLeptomastix dactylopiiも,CLB設置下では寄生率が向上した。3年間述べ4か所の現地カキ園における試験で,CLBによる次世代の密度抑制効果が示された。(著者抄録)
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分類 (5件):
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果樹  ,  有害動物による植物被害一般  ,  植物の病虫害防除一般  ,  生物的防除  ,  害虫に対する農薬 
引用文献 (79件):
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