抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1990年代以降,我が国の漁業管理を「日本型」と称した報告が増えている。これらは,日本の排他的経済水域に総漁獲可能量(TAC)制度が導入される際に,欧米の一部で導入されている個別漁獲枠方式に依らずとも,関係漁業者の自主的な協力を通じてTAC制度を実施できることを示唆している。このため日本型漁業管理は,沖合漁業をも視野に入れ,管理手法に関する共時的な国際比較を意識している点において,1970年代後半から沿岸漁業を中心に研究されてきた資源管理型漁業と峻別できる。また日本型と欧米型の対比は,漁業管理をめぐる技術的な問題にとどまらず,社会経済に関する思想の違いにまで及んでいる。このような日本型の漁業管理をめぐる科学共同体の認識は,トーマス・クーンが提唱した学術研究における「パラダイム」の構成要件を満たしていると考えられるが,本稿の分析枠組みの限定を理由に留保を付けざるを得なかった。今後の課題としては,パラダイム性を検証するためのより精緻な方法論とともに,日本型漁業管理の理論的根拠を探究するための比較制度分析が必要である。(著者抄録)