抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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(ア)新芽中の放射性セシウム濃度のモニタリング:福島第一原発の事故以降,チャの新芽,樹体,土壌の放射性セシウム濃度を経時的に調査したところ,降下後3年間でいずれも検出限界値以下となった。また,土壌から新芽への放射性セシウムの移行は極めて少ないと考えられた。(イ)刈り落とした枝葉中の放射性セシウムの動態の解明:中切りせん枝残さ中の放射性セシウムは刈り落とし後大きく減少した。C/N比から表層有機物の分解は安定しており,有機物分解に伴うセシウムの土壌への移行は少ないと考えられた。また,土壌中の放射性セシウム濃度はある程度までは減少するものの,土壌下層へは移行せず,表層に留まることが示唆された。(ウ)セシウムの施用時期と土壌から茶樹への移行との関係の解明:茶園土壌への安定同位体セシウムの施用時期と新芽中のセシウム含量の関係を調査した。a)新芽中の
133Cs含量と移行率:新芽中の
133Cs含量は,
133Cs施用量の増加に伴い増加した。しかし,0.01g/m
2までの施用量であれば,新芽中含量には影響せず,
133Csが根から吸収される可能性は低いと考えられる。移行率(植物体中の
133Cs量を
133Cs施用量で割った値)については,収量の違いから,春肥時施用後新芽,夏肥時施用後新芽,秋肥時施用後新芽の順に高かったものの(約0.01~0.08),同一施用時期の施用量間で移行率の違いは認められなかった。また,0.01g/m
2,0.1g/m
2施用の移行率はそれぞれ0.008及び0.007と低く,施用量間に差は認められなかった。b)土壌中の
133Cs含量と交換性セシウム含量:土壌の
133Cs含量は,0.01g/m
2以下の施用量であれば土壌中の含量が増加する可能性は低いと考えられたが,0.1g/m
2では対照区よりも有意に高く,土壌中含量が増加した。下層土においては,10g/m
2では
133Cs含量が高まったものの,1g/m
2までであれば対照区と概ね同程度の含量であり,表層から下層への移行の可能性は低いと考えられた。(著者抄録)