抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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(ア)福島原発事故以降のモモ果実中の放射性Cs濃度の果実発育期間中における経年的変化を見る目的で,事故後2作期目にあたる2012年より4年間の間,果実発育期間中の果実濃度を見た。満開後60日頃まで濃度が低下する点,60日以降は大きな変化が見られない点は4年間通じて同様の結果であった。2012年の収穫果実の放射性Cs濃度は事故年にあたる2011年に比べて3分お1程度に減少していた。翌2013年の収穫果実も前年に比べ低下していた。しかしながら,2014年以降の収穫果実や満開後60日の果実の放射性Cs濃度は前年との差がなかった。その一方で,満開後15日の果実の放射性Cs濃度は,2015年まで経年的な減衰がみられた。このようにモモでは,果実のステージの違いにより,放射性Cs濃度の経年変化に差異が発生した。(イ)(ア)のように,果実発育期間中のモモ果実の放射性Cs濃度は満開後60日ごろまでにおおむね低下することが確認できた。そこで,2012年度に福島県下の24園地よりモモ果実を満開後60日(摘果時)と収穫時に採取し,放射性Cs濃度を測定し,両機関の濃度変化の有無を確認した。その結果,摘果果実と収穫果実の放射性Cs濃度には,一定の相関がみられ,また,ほとんどの園地では,収穫果実の放射性Cs濃度が摘果果実よりも低かった。一方で,摘果果実の濃度が収穫果実の濃度を上回る園地も存在した。この傾向を,2015年に再度調査した所,2012年同様に,収穫果実の放射性Cs濃度が摘果果実よりも低い園地が多かった。よって,摘果果実を用いて収穫果実の放射性Cs濃度の推定を基に安全性を確保することがある程度可能であった。また,2015年の収穫果実の放射性Cs濃度を2012年と比較した所,すべての園地で低下していた。(著者抄録)