抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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コーヒーを飲みながら,その表面に見える白い「もや」について,考察した。「もや」は熱水表面に浮かぶ湯気,すなわち水面から空気中に放たれた水蒸気が再び凝結してできた水滴である。その大きさを測ると直径で10~20μm程度であった。そして,割れ現象については,以下のように感がられる。まず,落着した液滴は水面付近の気相中に浮かぶ。90°Cのお湯で釣り合っていた浮遊水滴の直下の液面温度が急低下すると,支えきれなくなって水面に落下,吸収される。これは,コーヒーやお茶の表面に見られる「もやの割れ」が対流パターンと相関があり,その対流パターンと温度にも実際に相関があることと対応している。サーモグラフィ画像によると,「もや」が少ない場所と表面温度が低い場所とがおおよそ対応している。よく観察してみると,水滴消滅の波面とほぼ同じ速度で水面上を走る波の影が見える。この波は水滴がない領域に到達してもそのまま進むが,1mmも進まないうちに減衰して消えていく。波を作るためのエネルギーは浮遊水滴のもつ表面張力に起源をもち,水滴の消滅で発生した表面波に巻き込まれた隣の水滴が,さらに波を発生させる雪崩現象が生じていると解釈できる。
