抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
動物において,嗅覚システムを含む並列経路を介した感覚処理は共通のデザインである。しかし,並列経路が高度に複雑でダイナミックな臭気シグナルをエンコードするために使用する機構は不明なままである。本研究では,進化的に基本的な昆虫であるゴキブリであるPeriplaneta americanaにおいて,並列臭覚経路の解剖学的と生理的特徴を解析した。この昆虫において,臭覚感覚ニューロンからより高次の脳中心への一般臭気の処理のための全システムは解剖学的に二つの並列経路に分離されている。2次嗅覚ニューロンの二つの分離ポピュレーション,タイプ1とタイプ2投射ニューロン(PN)は異なる糸球体グループにおいて樹状突起を持ち,高次の脳中心の別個の領域へ嗅覚シグナルを中継している。細胞内レコーディングを実施し,両タイプのPNの嗅覚特性と時間的パターンを明らかにした。一般的に,タイプ1PNはタイプ2PNよりも,試験した9個の臭気物質に対して,より高い臭気特異性を示した。クラスター解析で,臭気誘導応答がタイプ1PNにおいて時間的に複雑で変動性であるが,タイプ2PNは,効果的な臭気に対して,早期と後期のどちらかの潜時を伴う,応答におけるフェーズ性を示すことが明らかとなった。後期応答は早期応答よりも30~40ms遅かった。二つの異なるPNからの同時細胞内レコーディングで,与えた臭気が,異なる時間的パターンで両タイプのPNを活性化することが明らかにし,タイプ2PNにおける早期と後期応答の潜時は精密に制御されているかもしれなかった。結果は,ゴキブリが,臭気情報をエンコードするために異なる神経戦略を採用しているかもしれない,解剖学的と生理的に分離された二つの並列嗅覚経路を装備していることを示唆する。(翻訳著者抄録)