抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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大和肉鶏の特徴を残しつつ生産性向上や危機管理に対応できる次世代大和肉鶏を造成する試験の一環で,大和肉鶏の雌系種鶏に雄系種鶏候補として龍軍鶏ごろうを交配し,新たに作出した試験鶏について大和肉鶏と比較を行った。試験鶏の発育は非常に優れ,12週齢の平均体重は大和肉鶏の出荷目標体重をいずれも上回っていた。肉質等について試験鶏の13週齢と16週齢を試験区,大和肉鶏(18週齢)を対照区として調査したところ,雌雄ともに13週齢試験区は正肉歩留が低く,水分含量が高い傾向が見られ,特に雌では1%水準で有意であった。雄のモモ肉と脂肪の赤色度,雌の脂肪の黄色度,および剪断力価では,対照区が有意に高く,16週齢試験区,13週齢試験区の順に低くなっていた。モモ肉の遊離アミノ酸量は,試験区のみで比較するとグルタミン酸を含むすべての項目で13週齢試験区が16週齢試験区よりも高いか同じ値を示した。脂肪酸組成については,両試験区が対照区に比べて一価不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸とオレイン酸割合が高く,多価不飽和脂肪酸であるリノール酸とアラキドン酸割合が低かった。これらの結果から,鶏肉の色調や物理的性質で少なからず飼育期間の影響を受けていることが推測され,雄系種鶏に龍軍鶏ごろうを使用した場合,18週齢での出荷を推奨している大和肉鶏の特徴を反映するには,13週齢よりも16週齢での出荷が適していると考えられた。また,生体重1kgあたりの飼料費は,試験鶏を16週齢で出荷した場合,大和肉鶏よりも生体重1kgあたり約17円安い結果となった。(著者抄録)