抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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Lennard-Jones(LJ)ポテンシャル関数はアルゴンをはじめとする,希ガス分子間の相互作用を良く記述できており,標準的なポテンシャル関数として,物性理論の幅広い分野で用いられている.この関数は距離の!6乗で減衰する,無限遠にまで続く引力テイルを持つ.粒子間相互作用がLJポテンシャルで記述される系(ここではLJ系と呼ぶ)に対しては,これまでに多くの計算機シミュレーションの結果が報告されており,熱力学的性質に関する豊富な知見が蓄積されている。しかしながら,これまでの計算機シミュレーションでは全て,数値計算の便宜上,LJポテンシャル関数の引力部分をある距離rcで切断している.この切断が系の熱力学的性質に多大な影響を及ぼすことは,良く知られた事実である.即ち,切断の仕方如何で異なる巨視系が現れることになる.本研究では,引力ポテンシャルの切断を避けるために,周期境界条件によって生じる,イメージ粒子間相互作用の求和に対して,拡張Ewald法(Fuchizaki,1994)を適用した.この方法を採用することにより,相互作用の求和の収束を早めることができるため,数値的に厳密に,純粋なLJ系をシミュレートすることが可能になる.LJポテンシャル関数は物性理論における標準的なポテンシャル関数であるが,この関数を用いる数値計算においては,rc以上での関数の寄与が無視されて来た.こうした切断操作が,系の巨視的性質に多大な影響を及ぼすことは十分認識されている.本研究では,拡張Ewald法を用いて,数値的に厳密に,無限遠までの引力ポテンシャルの寄与を取り込むことによって,真の有限LJ系の性質をあらわにすることを試みた.粒子数N=256の系に対して,自由エネルギー評価を行い,平衡融点を求めた.