抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,PBL(プロジェクト学習あるいは問題学習)における学生行動を支援する環境の設計に貢献することを試みた。大学教育のカリキュラムにおいて,PBLはますます重要になっている。そして,新しいスタイルの学習は,それに適した環境を必要とする。本論文では,PBLにおける重要な位置を占めるグループ作業に焦点を合わせて,情報共有のためのICTツールと家具の配置の間の相互作用を検証することを目的とした。2つの実験について報告する。実験方法と解析方法は両方の実験において共通であったが,家具の配置は両方の実験において異なった。実験方法:実験参加者は4人で1グループとした。そして,彼らはタブレット装置を用いてグループ作業を行った。各参加者それぞれに用意されたタブレット装置に対して,白色ボードをシミュレートするプログラムがインストールされた。このプログラムにより,すべての参加者が白板ボード上に同時に書き込むことが可能になった。タブレット装置では手で書き,それらを白板全体を表示することも,それの一部を拡大して表示することもできた。2つの実験グループを比較した。1つのグループにおいては,タブレット装置上と同じである全体の白板ボードは,アイデアを共有するために常に広いディスプレイ装置(46インチ)上に表示された。もう一つのグループについては,表示装置上に何も表示されなかった。解析方法:実験から得られたデータを,Brunner-Munzel試験とBayes推論を用いて解析した。それらを,p値,効果サイズおよび事後分布によって評価した。レイアウト:実験Aでは,2人のメンバーが並んで座り,机をはさんで4人で向い合い,表示装置をメンバーが着席しないもう1つの側にセットした。ディスプレイの高さ(図1)は,見上げることも見下げることもなく見ることができる高さとして設定された。実験Bでは,ディスプレイ装置を全員が正面を向いた時に見えるように配置し,4人の実験参加者は椅子を机に添わせて座った。(図6)結論:今回実施した2つの実験から以下の知見を得た。1)不適切な配置を持つ表示装置は,情報共有ツールとして機能しないだけでなく,表示装置を用いない場合と較べて情報広汎化の効果を下げる負の効果を生み出した。2)情報取得のためのツールである情報共有表示装置の配置は,情報伝達のための手段であるタブレット装置の操作の容易さにも影響する。3)表示装置の配置により他のメンバーに視線で指示する行為を誘うことができる。これらのことから,PBLを目標とするICTを導入した学習環境を実現するために,空間と装置の相互依存性を取り入れた学習環境を考慮する必要があることを確認した。(翻訳著者抄録)