抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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営農規模のほ場において,地下水位制御システム(FOEAS)がダイズの生産性に及ぼす影響を明らかにするため,FOEASを施工した茨城県つくば市の現地ほ場において,地下水位制御の有無と異なる栽培法が,ダイズ栽培における播種作業性,生育,収量,子実成分組成等に及ぼす影響を解析した。処理区として,対照ほ場・慣行ロータリ播種栽培区(対-慣ロ),FOEASほ場・慣行ロータリ播種栽培区(F-慣ロ),FOEASほ場・不耕起狭畦栽培区(F-不耕)の3処理を設け,2007~2011年の5カ年試験を行った。FOEASによりほ場の排水性は改善され,降雨後の速やかな土壌水分の低下,地耐力の向上による播種作業性の向上が図られた。出芽苗立ちは,対照ほ場よりもFOEASほ場において,安定的に明らかに高かった。開花期の地上部乾物重はF-不耕,F-慣ロ,対-慣ロの順で大きかった。FOEASほ場の方が個葉の葉色(SPAD値)が濃く,みかけの光合成速度も高い傾向にあった。成熟期の地上部風乾全重と収量はFOEASほ場において,対照ほ場よりも大きくなり,さらに不耕起狭畦で大きくなった。5か年平均の粗子実重は,対-慣ロに対して,F-慣ロが約1.6倍,F-不耕が約2倍であった。FOEASほ場における増収効果は稔実莢数の増加,不耕起狭畦栽培による増収効果は,稔実莢数と収穫指数の双方の増加がそれぞれ主として関係していた。また,FOEASによる増収効果は,干ばつや多雨など,蒸発散量と降水量で示される水収支が大きく変動する年で大きい傾向があった。成熟期に残存した雑草乾物重は,FOEASほ場において少なかった。FOEASほ場では青立ち程度が抑制する傾向がみられた。子実粗タンパク質含量には,明瞭な処理間差が認められなかった。以上から,FOEASの導入は関東地域のダイズ栽培において,播種作業性と出芽苗立ちの向上,栄養生長の増大をもたらして増収に大きく貢献すること,さらにその栽培方法としては省力的な不耕起狭畦栽培が適すると考えられる。(著者抄録)