抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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序:地域気候は建築設計における重要な要素である。特に,環境問題と省エネルギーの観点から,建築手法により自然エネルギーを効果的に利用するパッシブ設計が重要になってきている。V.Olgyayが「気候による設計」において言っているように,快適な室内気候を創出するためには三つのステップがあり,屋外環境,建築手法,設備機器の考慮に基づく複合設計がパッシブ設計に重要である。そこで,建築手法の重要性について解説した。吉村順三(1908~1997)は戦後の日本において多数の住宅を設計し,機械設備に加えて建築物の不均一性を強調し,住宅の快適性を一貫して追求した。吉村の建築と環境に対しての考えはその作品で実現され,空間,窓,開口部の割合を検討して,それらは完全に開き,そしてスクリーンおよび暖炉に置き換えることができた。本論文は,居室の空間的構成から見られるように,吉村の住宅作品における環境設計に対する意図性を明らかにすることを目的とした。方法:最初に,住宅の位置特性を調べた。主空間の位置特性と配置を解析するために,建築物の配置,建蔽率,主要空間の配置を調べた。次に,主空間を閉鎖する方法を検討した。主空間と外部空気との接続,主空間の体積,ボイドの有無を検討し,屋外に接続した窓の特性として,窓壁比と窓の開閉度を検討した。第3に,すべてのこれらの結果に基づいて,主空間の閉鎖と開口の空間構成をマトリックスによって分類した。さらに,これらの分類により,熱と空気の組合せ設計に向けた吉村の意図を分析した。結果;1)建築物と主要空間の基本配置は,敷地面積と建蔽率などの空間的条件に応じて,南北方向であった。2)全体空間において,外部から内部への出入り口はほとんど同じ数であったが,各部分に対して傾向は異なった。体積の中心と吉村によって好んで用いられた平面の割合の間には一致が見られた。窓の多くは開閉可能な機構に基づいていた。すべての方向に有効な換気の機構によって,大きい窓と小さい窓がそれぞれに使用された。3)空間構成の類型解析は,境界面が外部で窓壁比が低いもの,境界面が内部で窓壁比が高いものに分けられた。また,室容積が大きい場合,窓の開閉度は低く,室容積が小さい場合は窓の開閉度は高い。そこで,多くの補助的な組合せに熱・空気システムのそれぞれのバランスを維持する意図があることを指摘した。結論:本研究では,吉村の独立住宅作品について,温熱環境における建築設計の観点から空間特性を系統的に検討した。(翻訳著者抄録)