抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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空間構造は,大きな地震災害の後,避難所と援助ステーションになると予想され,被害なしで即時の使用性能を維持する必要がある。しかし,近年,比較的新しい体育館において,部材の座屈や,天井や照明器具の落下などの被害が生じている。これらの被害を解決するために,空間構造への免震システムの導入が言及されている。とりわけ,球面すべり支承(SSB)は,その固有周期が支持重量に依存しない特性を持っている。したがって,SSBは鋼部材からなり軽量静荷重を持つ空間構造に適した免震システムである考えられている。しかし,振動台試験によりSSBにより支持された空間構造の地震応答挙動を調べた研究はない。これらの背景から,本研究の目的は,振動台試験によってSSBによって支持された空間構造の地震応答挙動の研究である。実験モデルの屋根構造は,アーチ方向750mmスパンの円筒ラチスアーチ屋根である。半開角は30度である。アーチ屋根は厚さ0.8mmの冷延鋼板(SPCC)製である。構造物の応答を,加速度計,運動捕捉システム(Nobby Techによって作られたVENUS3D-1.7MW),歪ゲージおよびレーザ変位センサによって測定した。最初に,SSBsにより支持された円筒ラチスアーチ屋根の地震応答挙動と応答低減効果を振動台試験により調べた。次に,実験結果を有限要素解析の結果と比較した。最後に,以前の論文で提案されている水平地震動の下での実験結果と地震応答評価法の間の対応について調べた。実験結果から,以下の結論を得た。1)SSBによって支持された円筒ラチスアーチ屋根において,入力地震動の加速度が増加すると,応答低減効果はより大きくなる。さらに,面圧応力の増加による摩擦係数の減少のために,応答低減効果はより大きくなる。2)水平および垂直地震動を受けるSSBによって支持された円筒ラチスアーチ屋根の応答は,各単一入力下時の時刻歴応答の和,または,各単一入力時の最大応答のSRSS(二乗和平方根)によって再現できる。さらに,垂直入力加速度が下向きに大きくなると,SSBの面圧応力は減少し,応答低減効果はより小さくなる。3)多重せん断ばね(MSS)モデルによりモデル化したSSBを用いた数値解析モデルを用いた数値解析結果から,SSBにより支持された円筒ラチスアーチ屋根の地震応答挙動を再現することが可能である。4)参考文献15)で提案されている免震層の等価剛性評価法,参考文献16)または17)で提案されている屋根の応答加速度評価法を用いて,水平地震動を受けるSSBにより支持された円筒ラチスアーチ屋根に対する最大応答加速度の分布を評価することが可能である。5)非免震モデルでは,入力地震動の加速度が増加するにつれて,実験値の分布は変化し,以前の論文における評価法によるものとは異なる分布の形状をもたらす。実験の結果と評価法の結果との不一致の理由は,実験値の中心線AOA
”上の応答加速度の分布の形状が,対称モードの励起と有限曲げ変形の発生により2つのピークをもつ形状から,1つのピークをもつ形状に変化するためである。(翻訳著者抄録)
