抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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平成28年には,4月の熊本地震,6月の梅雨前線豪雨,相次ぐ台風などによる多数の土砂災害が発生した。中でも,8月21日に発生した台風第10号は,南下してから北上するという過去に例のない進路を取り,8月30日に岩手県大船渡市付近に上陸した。東北太平洋側への台風上陸は,1951年の統計開始以来,初めてだった。この台風10号は,30日夕方から夜にかけて岩泉町に,統計開始以来初めての降雨量をもたらした。従来,土砂災害については,過去に観測された値とその時の崩壊発生の有無から,崩壊発生の危険度が経験的に求められ,土砂災害警戒情報として使われていた。上記のように,過去に経験しなかった大きな降雨量に対しては,降雨を入力した力学的な斜面安定解析から安全率を求め,この安全率から危険度を判定する必要がある。また,空間や時系列に関して,よりきめ細かい予測情報を提供することが,警戒や避難情報の適切な発令に資するものである。筆者の一人は,表層崩壊に関して,地形を数値モデル化し,降雨を入力し,飽和横流れ浸透解析によりセルの地下水位を計算し,無限長斜面安定解析式を用いて,各セルで,時間ごとに安全率を計算する手法を提案した。本報告では,神戸市を対象にした検討の中で,これまで対象外としていた市街地内の小規模斜面において,土砂災害警戒区域に指定された箇所への対応が課題となったので,その検討結果を報告する。