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J-GLOBAL ID:201802244878206659   整理番号:18A1124508

アジア産トリカブト属植物(キンポウゲ科)の分類学的研究 XV.石川県能登半島産トリカブト亜属の1新種

Systematic Studies of Asian Aconitum (Ranunculaceae) XV. A New Species from Noto Peninsula, Central Honshu, Japan
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資料名:
巻: 93  号:ページ: 190-197  発行年: 2018年06月20日 
JST資料番号: Y0108A  ISSN: 0022-2062  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 英語 (EN)
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石川県輪島市惣領町(能登半島)からトリカブト属トリカブト亜属(キンポウゲ科)の1種,ワジマブシAconitum wajimanum Kadotaを記載した(Figs.1-2)。ワジマブシは1)花柄に粗面屈毛が生え,2)花柄に付く小苞が2対あり,3)茎葉の葉身が3深裂し,4)花弁の舷部があまり膨大せず,5)距が細くかつ長く,先端がわずかに屈曲する点で特徴付けられる。花柄に粗面屈毛が生える点ではイブキトリカブトA.japonicum Thunb.subsp.ibukiense(Nakai)Kadota[=A.ibukiense Nakai](本州-北陸地方と近畿地方の日本海側地域)やヤサカブシA.nikaii Nakai(山口県)に似るが,上に挙げた2対の小苞,葉身が3深裂し,花弁の距が細くかつ長い点などで異なる。ワジマブシは石川県の固有種である。『石川県植物誌(1983)』や『加賀能登の植物図譜(1987)』,『石川県植生誌(1997)』,『旧七尾市地域の植物所蔵目録(1997)』には「ヤマトリカブトA.japonicum Thunb.var.montanum Nakai」が掲載されている。石川県自然史資料館に所蔵されている「ヤマトリカブト」と同定されている標本を調べたところ,それらはリョウハクトリカブトA.zigzag H.Lev.&Vaniot subsp.ryohakuense Kadota(石動山,医王山),及びリョウハクトリカブトとイブキトリカブトの自然雑種と推定されるものであることが分かった。ヤマトリカブトA.japonicum Thunb.subsp.japonicumは本州中部の太平洋側地域(関東地方西部と中部地方東部)にのみ知られている分布域の狭い植物であり,石川県を始めとする北陸地方では知られていない。一方,小牧旌は『七尾市植物目録(1969)』や『輪島市の植物目録(1993)』でハナトリカブト(カブトギク)A.carmichaeli Debeauxが野生状態で見られる,と記している。実際,能登半島の各地でハナトリカブトに良く似た植物が観察される。しかし,すでに門田(2015)で述べたように,花付きが良くかつ葉が革質で,一見ハナトリカブトに似た個体の花柄には粗面屈毛に加えて,多少とも滑面開出毛と滑面腺毛が見られる。このような花柄をもつ個体は,花柄に粗面屈毛をもつ種と花柄に滑面開出毛と滑面腺毛を持つ種との雑種起源と考えられている(例えば,Kadota1987,門田2016)。前者はワジマブシあるいはハナトリカブト,後者はコウライブシ(ミツバトリカブト)A.jaluense Kom.subsp.jaluense[=A.triphyllum Nakai]と推定される。コウライブシはかつて三重県,大阪府,島根県,香川県などから得られていたが,現在,国内では九州にしか知られていない。コウライブシはかつては能登半島にも生育していた可能性がある。トリカブト属トリカブト亜属において,花柄に2対の小苞を付けるのは特異な形質である。このような性質をもつ種はワジマブシの他にもう一つ例がある。中国湖北省から記載されたA.ichangense(Finet&Gagnep.)Hand.-Mazz.[=A.semigaleatum Pall.var.ichangense Finet&Gagnep.](中国名:巴東烏頭)がそれである(Fig.3)。しかし,A.ichangenseはヒマラヤ高山帯に分布するA.hookeri StapfやA.hamatipetalum W.T.Wangに似た種で,ワジマブシとの直接的な関係は認めがたい。(著者抄録)
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植物分類学 
引用文献 (16件):
  • Ishikawa-ken Shokusei-shi Hensan-iinkai [Editorial Committee of Vegetation of Ishikawa Prefecture] (ed.) 1997. Ishikawa-ken Shokusei-shi [Vegetation of Ishikawa Prefecture]. Ishikawa Prefecture, Kanazawa (in Japenese).
  • Kadota Y. 1987. A Revision of Aconitum Subgenus Aconitum (Ranunculaceae) from East Asia. Sanwa Shoyaku Co., Utsunomiya.
  • Kadota Y. 2006. Aconitum L. In: Iwatsuki K., Boufford D. E. and Ohba H. (eds.), Flora of Japan IIa: 267-285. Kodansha Ltd., Tokyo.
  • Kadota Y. 2008. Aconitum L. In: Ohashi H., Murata J. and Iwatsuki K. (eds.), New Makino's Illustrated Flora of Japan. pp. 135-141. The Hokuryukan, Tokyo (in Japanese).
  • Kadota Y. 2011. Aconitum L. In: Kato M. and Ebihara A. (eds.), Endemic Plants of Japan. A Book Series from the National Museum of Nature and Science No. 11. pp. 55-57. Tokai University Press, Hadano (in Japanese).
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