文献

J-GLOBAL ID：201802248185856096   整理番号：18A1492123

林冠生物学におけるツリークライミングの適用と展望

The opportunities and challenges of applying tree climbing techniques as a canopy access method in canopy biology

著者 (6件)： 中西晃 (京都大学農学研究科) ,  中西晃 (琉球大学亜熱帯フィールド科学教育研究センター) ,  東若菜 (京都大学農学研究科) ,  田中美澄枝 (京都大学農学研究科) ,  宮崎祐子 (岡山大学大学院環境生命科学研究科) ,  乾陽子 (大阪教育大学教養学科)
資料名： 日本生態学会誌  (Japanese Journal of Ecology)
巻： 68  号： 2  ページ： 125-139(J-STAGE)  発行年： 2018年 
JST資料番号： G0845B  ISSN： 0021-5007  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 文献レビュー  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 林冠生物学は,生物多様性や生態系機能が局在する森林の林冠において,多様な生物の生態や相互作用,生態学的な機能やプロセスの理解を目指す学問である。林冠は高所に存在し複雑な構造を有するため,林冠生物学研究の飛躍的な進展は1980年代以降の林冠アクセス手段の発達に拠るところが大きい。様々な林冠アクセス手段の中でも,ロープテクニックを駆使して樹上にアクセスするツリークライミングは道具を手軽に持ち運べることから移動性に優れ,対象木に反復してアクセスすることが可能である。また,林冠クレーンや林冠ウォークウェイなどの大型アクセス設備に比べて経済的であるという利点が活かされ,林冠生物学研究に幅広く適用されてきた。近年では,ツリークライミングの技術や道具の発展によって安全性や作業効率の向上が図られており,今後ますます活用されることが期待されている。本稿では,ツリークライミングを用いた林冠生物学の研究例を紹介しつつ,樹上調査における林冠アクセス手段としてのツリークライミングの有用性を示す。さらに,ツリークライミングを用いた林冠生物学研究の今後の展望および課題について議論する。移動性,経済性,撹乱性に優れたツリークライミングは,場所の制限を受けないため,あらゆる森林での林冠生物学研究において今後も重要な役割を担うと考えられる。また,他の林冠アクセス手段や測定機器と併用することでさらなる進展が期待される。一方,安全かつ有効なツリークライミングが普及するためには,研究調査以外の領域も含めたツリークライミング・ネットワークの形成と情報共有のためのプラットフォームづくりが急務である。(著者抄録)

シソーラス用語： 植物被 ,  生物学 ,  林学 ,  *技術 ,  *樹木 ,  維持管理 ,  *作業 ,  林冠 ,  実験技術 ,  *森林管理
準シソーラス用語： *ツリークライミング ,  *森林作業

著者キーワード (10件)： ロープテクニック ,  生理生態 ,  繁殖 ,  着生植物 ,  昆虫群集 ,  single- and doubled-rope techniques ,  ecophysiology ,  reproduction ,  epiphytes ,  insect community

分類 (1件)： 測樹学  (FF01040T)

引用文献 (133件)：

• Adams M (2007) Safe and efficient tree ascent: Doubled Rope\nTechniques (DdRT). Arborist News, 15:50-53
• Akiyama H, Furuki T, Sri-ngernyuang K, Kanzaki M (2011)\nAlphabetical list of bryophytes occurring in a 15 ha longterm\nmonitoring plot at Doi Inthanon, Northern Thailand.\nBryological Research, 10:153-164
• Allee W (1926) Measurement of Environmental Factors in the\nTropical Rain Forest of Panama. Ecology, 7:273-302
• Ambrose A, Sillett S, Koch G, Van Pelt R, Antoine M,\nDawson T (2010) Effects of height on treetop transpiration\nand stomatal conductance in coast redwood (Sequoia\nsempervirens). Tree Physiology, 30:1260-1272
• Anderson D, Koomjian W, French B, Altenhoff S, Luce J\n(2015) Review of rope-based access methods for the forest\ncanopy: safe and unsafe practices in published information\nsources and a summary of current methods. Methods in\nEcology and Evolution, 6:865-872

タイトルに関連する用語 (4件)： 林冠 ,  生物学 ,  クライミング ,  展望