抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1.はじめに 大地震時の鋼構造骨組における部材の必要塑性変形能力を理解する事は,構造設計作業において重要なことである。著者らは,参考文献17で想定される方法を修正した,ブレース付き1層鋼構造骨組の最大層間変形角の予測法を提案したが,それは,複雑で使用が困難である。そこで,本論文では,エネルギー平衡に基づいて,ブレース付き1層鋼構造骨組の最大層間変形角と必要散逸エネルギーを予測するための簡単で価値ある方法を提案した。2.ブレースの解析モデルの調査 ブレースの実挙動と良く一致する解析モデルを検証するため,3種類の解析モデルを取り上げ,解析結果を断面形状が矩形,H型,円管である過去の試験結果と比較した。解析モデルの1つは,一般化塑性ヒンジモデル(参考文献23)であり,2番目は,加藤・秋山による単軸ばねモデル(参考文献24),もう1つは,柴田・若林による単軸ばねモデル(参考文献25)である。加藤・秋山モデルの解析結果は,細長比を変化させた矩形断面ブレースの試験結果とあまり一致しなかった。一方,解析結果では,一般化塑性ヒンジモデルと柴田・若林モデルの両方とも試験結果とほぼ一致した。局所座屈が起こらない場合,断面形状に関係なく,細長比のみがブレースのヒステリシス特性に影響を及ぼすことは注目に値する。3.ブレースの理想化ヒステリシス特性のモデル化 一般化塑性ヒンジモデルを用いた静的増分解析の結果に基づいて,ブレースの理想化ヒステリシス特性を提案した。スリップ挙動中のブレースの強度は,目標入力レベル以下での平均応答に基づいて修正されるという過去の研究から,これが,このヒステリシス特性の最も進歩的なポイントである。4.ブレース付き1層鋼構造骨組の必要塑性変形能力の予測法 エネルギー平衡に基づいて,ブレース付き1層鋼構造骨組の最大層間変形角と必要散逸エネルギーを予測するための手法を提案した。この手法を主体骨組の降伏状態によって分類して,半サイクルにおける全入力エネルギー(r
サイクル)に対する入力エネルギーの比率について考察した。誘導された予測方程式は,主体骨組の降伏点での連続陽関数である。5.時刻歴応答解析による検証 提案した予測法の妥当性を確認するために,時刻歴応答解析をおこなった。ブレースは,一般化塑性モデルを持つ弾性棒によってモデル化され,質点にリンクされている。主体骨組は,せん断バネによってモデル化され,質点にリンクされている。ブレース付き鋼骨組のパラメータは,ブレースの細長比,ブレースの水平耐力分担率,構造特性因子,ブレースの骨組に対する降伏層間変形角の比率である。最大層間変形角として,ブレースとフレームの散逸エネルギーについて解析と予測結果を比較し,予測法がすべての解析ケースにおいて有効で有用であることを明らかにした。6.結論 主な知見は以下のように要約される。1)r
サイクル=0.4の場合における予測値は,骨組の散逸エネルギーの上限およびブレース付き1層鋼構造骨組の最大層間変形角と良く一致した。2)r
サイクル=0.1の場合における予測値は,ブレース付き1鋼構造骨組のブレースの散逸エネルギーの上限と一致した。3)全体座屈により生じるブレースの強度劣化は,断面形状に依らず,細長比のみに依存する。(翻訳著者抄録)