抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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都市住民による森林ボランティア活動は従来,主としてその社会的意義との関連で議論されてきた。しかし活動参加者自身は,そうした位置づけにとどまらず,多様な関心にもとづいて活動に取り組んでいる。こうした状況において本稿は,活動参加者自身の活動の語りかたを手がかりに,都市住民はどのように活動を組織し,森林の利用・管理をおこなっているのかを検討する。事例に取り上げる鳩ノ巣フィールド(東京都西多摩郡奥多摩町)において,活動参加者は,社会的意義への関心にもとづく実践という意味づけから距離をはかって,自身が活動に取り組む意味を語っている。この語りの「型」は,鳩ノ巣フィールドの活動を維持してゆくための非明示的な利用規制として活動参加者に共有されている。それは,活動体の水準では,活動をつうじたフィールドへのアクセス権を広く都市住民に開く効果をもち,個人の水準では,継続的に活動に参加するための重要な契機として意味をもつ。このような活動体の構成によって,活動参加者は,認識の水準で多様な関心にもとづいて活動を意味づけ,行為の水準で活動の理念や計画にしたがって活動に取り組むという重層性をともなって活動に取り組む。鳩ノ巣フィールドは,このようにして,都市住民に広く開かれたコモンズを意味論的に形成し,都市住民を主体とする森林の適正利用・管理をこれまでおこなってきている。(著者抄録)