抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本の干潟の泥の中に生息する絶滅危惧種のマサゴハゼ Pseudogobius masagoは,埋め立てや沿岸開発などの人間活動による生息場所の損失によって脅かされている。しかしながら,本種に対する基礎的な情報は,特に,南限として知られている個体群の沖縄島においては少ない。沖縄島の漫湖で2010年3月から2012年11月にかけて実施した毎月のサンプリング計画により,本種の寿命や成熟などの生活史特性を調べた。P. masagoの産卵期は,1年以上の期間にわたる卵巣の組織学的観察と再生産の出現から決定された。推定した孕卵数は202~542粒であり,これは日本本土(264~961粒)の個体について調べられたものより少なかった。扁平石の毎日の増加を計数して年齢と成長を決定し,アリザリンコンプレキソン(ALC)蛍光染色を用いて検証した。P. masagoの最大寿命は約4か月で,個体の成熟と生残は季節的に異なり,出生月に依存した。P. masagoは,三重県または福岡県の個体群と比較して,沖縄島ではより小さく短寿命であり,本種の全生活史戦略は明らかに緯度で異なっていた。温帯域の日本本土に生息する個体群はより大きく成長し,より短い産卵期で多くの卵を生産したが,亜熱帯域の沖縄島に生息する個体群はより小さい最大標準体長まで成長し,より少ない卵を生産したが,世代重複により産卵期を延長していた。本種の将来的な保全は,可能な限り柔らかい干潟に対する人間活動の削減にかかっている。(翻訳著者抄録)