抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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赤米は有色米の一種であり,果皮・種皮の部分にタンニン系の赤色系色素であるプロシアニジン類を含んでいる。赤米の登熟過程において,色素成分は徐々に生合成されることが知られているが,収穫後の貯蔵期間に濃色化現象が観察されている。しかし,そのメカニズムはおろか化学構造すら不明である。我々はこの現象がプロアントシアニジン類の空気酸化による劣化現象であると推定しており,カテキン2量体を用いたモデル酸化反応により分子内結合を有する新たな化合物の単離に成功している。しかし濃色化による300~500nm付近の吸収量の増大は,カテキン2量体酸化物の生成による吸収量の変化で説明するには不十分であった。我々は,カテキンの重合度の増大が酸化反応に起因する結合様式の多様性に影響を与えると推測し,新たなモデル化合物を設計し調製法を検討した。次に,それらの酸化反応を行い,HPLC分析を行ったところ新たにピークa~kが生成し,その生成量は反応時間の増大により変化することが明らかとなった。HPLC-ESI-MS分析の結果,酸化生成物の各ピークはいずれもm/z 861[M-1]
-,863[M-1]
-を示し,分子内で新たな結合が生じていることが示唆され,保蔵期間が長くなるにつれて,プロアントシアニジン類が高分子化するのではなく修飾あるいは変換を受けている可能性が示された。さらに,酸化生成物の300~500nm付近の吸収量の増大はカテキン2量体よりもカテキン3量体の方がはるかに大きいことが明らかになった。(著者抄録)