抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
湿潤スラブに接着された仕上げ材は,高い確率で剥離する(写真1参照)。スラブ表面の水分管理指標を提案するために検討した。本論文では,基礎段階として耐久張り床材の開発を目的として,スラブ表面の付着強度と含水量との関係を定量的に調査した。コンクリートスラブ上にモデル化した試験体の乾燥中に,張り床材を試験体上に接着させた(図1参照)。次に,スラブの含水量と張り床材の接着強さを測定した。コンクリートは,建設現場で非常に一般的に使用されている,圧縮強度は27N/mm
2,スランプ値18cmのものである(表1参照)。表面仕上げ作業は,建設現場に於いて典型的な条件である木ごてむら直し1回と金ごてむら直し2回とした。特別な硬化は行わず,試験体は空気中で自然に乾燥した(表2参照)。高周波静電容量水分計(写真2参照)を用いて含水量を測定した。張り床材を,水分計指示値が9.0,7.0,5.5,4.5または3.5になったタイミングでそれぞれ接着した。張り床材として,塩化ビニルタイルと塩化ビニルシートの2種類を用いた。接着強度は,引張強さ(写真3参照)とJIS A5536(織物及び積層張り床材に対する接着性)に規定された90°剥離接着強さにより把握した。90度剥離接着強さのオリジナル方法は実際のスラブには適用できず,したがって,それらにおいて等価接着強さを測定することができる装置を製作した(図2参照)。最後に,張り床材の接着強さとスラブの含水量を比較した(図4と6参照)。接着強さは含水量の増加と共に減少した。しかし,ある種の接着剤では,接着強さは非常に乾燥した試験体ではかなり低下した。この結果は,それぞれの接着剤が,スラブの含水量に対して最適値がある可能性を示唆している。また,表面含水量が同じであっても,内部含水量による接着強さに差があることも判明した。また,2種類の測定法の間に差があった。それらは非常に重要な示唆である。張り床材の建設直前に測定された水分計指示値は水分管理指標として不十分である。水分計指示値の変化速度と含水量の他の測定法を組み合わせることを検討しなければならない。また,接着強さについてより深い検討を行うべきである。接着強さを評価する適正な方法を設定するために,種々の荷重作用方式によるいくつかの物理的性質を選択し,それらを適切に組み合わせるべきである。写真1から,引張強さまたは90度剥離接着強さによって測定できる張力以外の力が,ある状況下で張り床材に作用している事が明らかである。他の物理的性質の測定法を設定し,それらの物理的性質と剥離状況の実際の力との関係を調べる必要がある。(翻訳著者抄録)