抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究の目的は,集落営農の組織間連携の特徴と課題を,秋田県内の事例をもとに明らかにすることである。明らかにしたのは以下の諸点である。第1に,集落営農の組織間連携は,1)農業技術や経営に関する情報交換,2)必要に応じた相互支援(農機具・資材の融通や農作業受委託),3)大規模に枝豆を栽培する新会社の共同出資による設立,の順に実施されていた。組織間の信頼関係が深まるとともに,連携はより踏み込んだものになっていた。その一方で,各組織が自前の農機具や人材を用いて独立して経営する形態は継続していた。第2に,新会社の設立は,各組織における喫緊の経営課題への対応を目的としたものではなく,地域農業の将来を見据えた先行投資を目的としたものであった。農機具や施設の取得に必要となる資金の多くを補助金によって賄なえたことが,新会社を設立できた大きな要因であった。第3に,今後は,新事業の収益を安定させ,できるだけ早く軌道に乗せることが重要である。そのためには,組織構成員の同意と協力を得つつ,事業の生産性向上を図ることが必要になる。それとともに,各組織の強みと弱みをふまえた新たな連携のあり方が検討されてよい。第4に,集落営農の組織間連携に対するニーズが今後高まると予想され,近隣の組織間で信頼関係を徐々に醸成しておくことが必要である。農業関連の指導機関は組織間で気軽に情報を交換できる場を用意すべきである。(著者抄録)